自治体からのご依頼で講演をしてきました。せっかくですので、そこでの体験を、このコラムをご覧の皆さんと共有できたらと思います。
広報にも掲載された講演テーマは、「今知っておきたい、メールやSNSのこと」 子どもを取り巻くネット環境の内容でした。
ご依頼頂いた、自治体スタッフから「対象は小学生高学年・中学生のお母さんになります」と言われました。
しかし実際に来ていた方の中に、なんとおじいちゃん・おばあちゃんがいました。また、幼稚園の保護者の方も参加しておりました。
そうです! いまや子供だけでなく、孫との関わりでおじいちゃん、おばあちゃんがケータイ・スマホを使うようになってきており、おじいちゃん・おばあちゃんが「学んでおかなければ・・・」という意識が高まっています。
また「育児用アプリ」もたくさん出ていて、それらを使って、赤ちゃんの時から自分のスマホを触らせているママにとっては、3歳になった時に、我が子がどれだけサクサク、スマホを操作できるか、だいたい予想がつきます。
(実際、目の当たりにしているママも多いはず)
子どもを取り巻くネット環境を知っておこうとする、保護者の年代は広がっています。
その反面、「うちはまだ早いわ!」という保護者の方も多いです。いや、その層の方が断然に多いです。
主催する自治体スタッフの告知対象者のイメージも同じでした。インターネットを使う子どもの年代を、非常に限定的にとらえています。しかし、実際はどうでしょうか?
世界でインターネットを利用している人口はおよそ27億人と言われています。文明の発達した地域だけを考えてみても
ほとんどの人がネットを利用できると考えていいでしょう。そのうち、日本のネット人口は9,652万人といわれ、実に
日本人の79.5%の人が利用していることになります(総務省 平成24年度末データ)
インターネットを利用するということは、27億人の中に入って行くということです。私たちは、身近な人とのやり取り
だけと考えがちですが、その向こうには27億人が存在しています。
いい人悪い人、人種・年齢を問わず、それだけの人と関わりを持てる世界がインターネットです。その入り口が、ケータイ・スマホなのです。
「知っておかなきゃ」「勉強しよう」「念のために」と講座に足を運んでくださる保護者の方と、
「まだ早いわ」「身近な人としかメールもやりとりしていないし」「私は分からないから」と構えている保護者の方とでは、
子どものネットリテラシーの成長具合は確実に変わってきます。ネットの世界でも、格差は始まっているかもしれません。
格差こそが、トラブルや犯罪の温床となるかもしれません。
ケータイ・スマートフォンを持たせることは、巨大なインターネットの世界への「扉」を与えたのと一緒です。
我が子が被害者にも加害者にもならないようにするために何ができるか。年齢や持っている機種だけで判断せず、
「27億人の世界」をイメージして考えてみましょう。